2024.02.28
【調査レポート】子宮頸がん予防のHPVワクチンキャッチアップ接種、対象世代の約6割が「知らない」。情報不足や接種に対する不安がハードルに。
女性の健康週間(3/1~8)および 国際HPV啓発デー(3/4)にあわせて、1997~2006年度生まれの女性(以下、「キャッチアップ世代」)415人を対象に、2025年3月末に期限を迎えるHPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)のキャッチアップ接種に関する意識調査を実施しました。
調査結果からは、キャッチアップ世代のHPVワクチンやキャッチアップ接種に関する認知や理解が十分ではない状況が浮かび上がりました。
ケアミーはこれまで、アプリ利用者に対し子宮頸がん予防に向けた啓発活動を行ってきました。女性の健康課題に関わる正しい知識の理解促進に向けて、今後も情報発信に取り組んでまいります。
・HPVワクチンキャッチアップ接種、対象世代の約6割が「知らない」
・キャッチアップ未接種者、キャッチアップ接種を認知していても「接種の予定なし」「接種を迷っている」が約8割
・接種に対する不安や情報不足がキャッチアップ接種のハードルに
・調査期間:2024年2月15日~2月16日
・調査対象:1997年4月2日~2007年4月1日生まれ(キャッチアップ世代)の女性415人
・調査方法:インターネット調査
・HPVワクチンキャッチアップ接種、対象世代の約6割が「知らない」
キャッチアップ世代に対し、HPVワクチンの「キャッチアップ接種」を知っているか尋ねたところ、58.6%が「知らない」と回答しました。また、キャッチアップ接種もしくは定期接種で「すでに接種済み」と回答した人は全体の17.8%に留まりました。
・キャッチアップ未接種者、キャッチアップ接種を認知していても「接種の予定なし」「接種を迷っている」が約8割
キャッチアップ接種を「知っている/未接種」と回答した人を対象に、今後の接種予定を尋ねたところ、39.8%が「接種する予定がない」、38.8%が「接種を迷っている」と回答。キャッチアップ接種を認知しているものの未接種の人の中では接種予定者は約2割に留まり、約8割が接種の予定がない、または迷っていることが分かりました。
・接種に対する不安や情報不足がキャッチアップ接種のハードルに
キャッチアップ接種について「接種する予定はない」「接種を迷っている」と回答した人を対象にその理由を尋ねました。「HPVワクチンは副反応が危険だと聞いたことがあるから」が31.2%と最も多く、次いで「キャッチアップ接種について詳しく知らないから」が22.1.%、「HPVワクチンを打つ必要性を感じないから」が16.9%でした。
「その他」の回答としては、「打ちに行く時間がない」「子宮頸部異形成を発症しており、既にHPVに感染したことがあるため」「何となく面倒だから」「性経験があるのに意味があるのかわからないから」などが挙げられました。キャッチアップ世代のHPVワクチンやキャッチアップ接種についての認知や理解が十分ではない状況が浮かび上がりました。
キャッチアップ接種の対象者のうち、約6割の方がキャッチアップ接種自体を知らない、という結果は、あと1年でキャッチアップ接種が終わるという状況で、由々しき事態。さらに、キャッチアップ接種を知っているとしても、2013年の副反応疑い報道により多くの人に不安が刷り込まれてしまい、その後安全性が確認されたという事実は大きく報道されていないため、まだ「ちゃんと」知らずに「なんとなく」やめておこうと思っている人もたくさんいます。
その後の世界中の研究で、接種していない人にも同頻度で同様の症状がみられることがわかり、諸症状とHPVワクチンとの因果関係は否定されています。安全性が確認されたため、厚労省による積極的勧奨は再開し、接種の機会を逃してしまった1997-2007年度生まれの女性は特例で2024年度まで無料で接種することができます(キャッチアップ接種)。3回接種に半年かかるため、夏までには接種開始しましょう。
子宮頸がんは、20代後半~40代で発症することが多く、原因のHPVは、性交渉で感染しますが、約8割もの人が一生に一度は感染するありふれたウイルスで、だれもが子宮頸がんにかかる可能性があります。
ですが、子宮頸がんは「予防接種」と「がん検診」で予防できます。なるべくはじめての性交渉よりも前にHPVワクチンを接種することで、子宮頸がんを約9割予防できます。(すでに性交渉の経験があっても有効ですが、なるべく早めの接種がおすすめです。)9価HPVワクチンの場合は、1回目接種時に15歳未満の場合は、2回で接種が完了します(15歳以上は3回)。 子宮頸がんの原因となるHPV型全てをワクチンで予防できるわけではないので、HPVワクチンを接種した人も、20歳からの子宮頸がん検診が大事です。この両方で子宮頸がんは予防でき、世界は子宮頸がん撲滅に向かっています。 「知らなかった」という理由で後悔することのないように、子宮頸がんはだれもがかかりうる病気だけれども予防できること、HPVワクチンの安全性は確認されていること、を知って頂き、高校生~27歳(1997年度生まれまで)の方は、ぜひ無料で接種できる機会を逃さないで下さい。
稲葉 可奈子先生のプロフィール
医師・医学博士・産婦人科専門医
一般社団法人「HPVについての情報を広く発信する会」代表理事
京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。現在は関東中央病院産婦人科医長。医師としての診療業務と、4児の母として育児も楽しむ生活を両立。子宮頸がん予防や性教育など、「生きていく上で必要な知識」の発信に幅広く取り組んでいる。
PMS対策アプリ「ケアミー」を運営する株式会社ヘルスアンドライツは、女性の健康課題に関わる正しい知識を誰もが適切なタイミングで得られる社会の実現を目指しています。子宮頸がん予防に向けた啓発活動の一環として、「みんパピ!」 と協働し、アプリ利用者の年齢に応じて、適切なタイミングで子宮頸がん予防についての情報を提供しています。具体的な取り組みは以下の2点です。
子宮頸がん予防に関する正しい知識の理解促進に向けて、今後も情報発信に取り組んでまいります。
今回のリリース内容に関する取材、インタビューをお待ちしております。 「生理やPMSの課題」「男性への啓発の重要性」「フェムテック」ほか、「女性の健康課題」「健康経営」「女性の活躍推進」「ジェンダーギャップ」「妊娠・不妊」「ピル・緊急避妊薬」「包括的性教育」など、様々な切り口での情報提供が可能です。お気軽にご連絡ください。